2005年 2月 〜 如月の“たわごと”




ここ何日か、自転車がどうも調子が悪い。
入れても入れても、すぐに前輪の空気が抜けてしまうのだ。

しょうがないので近所の自転車屋さんへ。
パンク、というよりは、
もうタイヤのゴム自体が劣化していて、ひび割れてしまっているらしい。
そういえば、愛用の自転車は、かなりの年期モノ。
とうに10年以上は乗り続けているはず。

「さすがに、もうそろそろ買い換えないとダメですかね?」
と自転車屋のおじさんに聞くと、
「なに、タイヤを替えれば、まだまだ乗れる。
本体はしっかりしているんだ、
そんな簡単にダメにならない。」

と、不愛想に答えながら、てきぱきと作業を続けていく。
「前に後ろのタイヤも替えたからな、これでしばらくは大丈夫だ」
そういえば、半年か一年前に後輪のパンクで来たときも、
おじさんは買い換える必要はない、って言っていた。

たいがいのモノ、
特に電化製品なんかは、修理なんか出すより、
買い換えてしまった方が、楽だし、
お金も手間もかからなかったりする。
自転車だって、今はびっくりするぐらい安い値段のものがあるし。

でも…私の古い自転車を見るたび、おじさんは言う。
「まだまだ乗れる」って。

「…よしっ。」
最後のねじを締めてうなずいたおじさんは、
にっこり笑って、自転車をポンと叩き、
私になのか、それとも自転車になのか、こう言った。
「はいよ。おまたせ」

お金を払い、お礼を言って自転車屋を後にする。
新しいタイヤと使い込んだ自転車は、
見た目がすこしだけちぐはぐな気がするけど、
時期すぐになじむだろう
昨日までとは違う乗り心地を感じるように、
少し速めにペダルを踏みこむ。

ふと、見上げると、道路の向こう、
真っ赤な夕焼けが空一面に広がり始めていた。

…ずいぶん長いこと、気がつかなかったなぁ…
私は結構、
この街が好きだったんだなぁ…